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外国人ツアーは全滅。観光ベンチャーは コロナ危機にどう立ち向かおうとしているのか

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外国人ツアーは全滅。観光ベンチャーは
コロナ危機にどう立ち向かおうとしているのか
コロナ流行の影響を真っ先に受けた観光業界。訪日外国人向けにツアー企画などを手がける株式会社ノットワールド(本社:東京)も、3月下旬以降はすべてのツアーがキャンセルに。オリンピックイヤーだった2020年は、大きく飛躍する年になるはずでした。それでも、「ステップアップの機会に変えたい」と代表の佐々木文人さん。どうやって這い上がろうとしているのか、融資の活用などについてお聞きしました。

活用した支援制度

  • 新型コロナウイルス感染症特別貸付
  • 持続化給付金
  • 雇用調整助成金
  • 小学校休業等対応助成金
  • ものづくり補助金
  • 東京都感染拡大防止協力金
  • 事業継続緊急対策(テレワーク)助成金(東京都)
  • 新型コロナウイルス感染症対策雇用環境整備促進奨励金(東京都)
  • 京都市観光事業者等緊急支援補助金
  • (申請予定含む)

経営者仲間らとFacebookなどで、社員と支援リストで情報共有


ーー観光は最も早く影響が出始めました業界の1つだと思いますが、すでにいろんな手を打っているようですね。

今のところ、着金したのが日本政策金融公庫の融資と持続化給付金、申請したのが雇用調整助成金です。自治体の事業では、東京都の感染拡大防止協力金とテレワーク助成金、それと京都にもオフィスがあるんですが、市の観光事業者向け補助金に申請して入金を待っているところです。

ーー当然ですが、やはりそれほどダメージは大きいと?

ツアーは、例年なら桜の開花シーズンに合わせて申し込みが急増します。特に今年は東京五輪・パラリンピックを控えてましたし、「さあこれからだ!」と盛り上がっていく時期でした。そこにこのコロナ騒動です。影響は非常に大きいですね。

私たちのメインのゲストは欧米やオーストラリアの個人旅行者です。影響が明らかに出てきたのは、2月中旬あたりからです。

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」が連日ニュースになっていた頃からキャンセルが増えてきて、それでも3月上旬まではなんとかツアーを催行してたんですが、下旬になると完全にゼロ。ガイドの方の安全も考慮して、催行をこちらから中止しました。3〜5月で7000人くらいの参加を見込んでたんですが、受け入れできたのは、かろうじて実施できた3月上旬の200人弱だけでした。

ーー今は休業されているんでしょうか?

5月一杯はツアーと旅行代理店業務は休業してまして、役員以外の社員には休んでもらっています。役員は今後の戦略を練ったり、リモートでできる業務をしています。ただ、売上はほぼゼロの状態ですね。


佐々木さんたちは欧米豪の個人旅行者を中心に、ツアーの提供やガイドの紹介などを行っている。

ーーそこをなんとか乗り切ろうという中で、融資などの情報はどう集めてるんでしょうか?

1つは、自分で調べる。もう1つは、周りの人が教えてくれる。大きくこの2つです。

まず、自分では省庁や自治体のホームページを中心に、あとは日々のニュースをチェックするイメージです。それと周りからは、Facebookやブログなどを通じて経営者仲間や士業の知人から教えてもらうことが多いですね。

やってみて気がついたことなんですが、情報は発信しているうちに集まってきました。これは大切な気づきです。

Facebookやブログ、Twitterで「お金を借りようと都や区、銀行、保証協会に問い合わせをした」「こんな助成金が出たのを知った」「来月社員を休ませることにした」などと投稿すると、「必要ならうちの銀行の担当者紹介するよ」「雇用調整助成金やってる?」「こんな新しい制度があるよ」と自然と誰かが反応してくれて、アドバイスやタイムリーな情報を教えてくれるんですよ。

いろんな人から連絡をいただけて、ほんと助かりましたね。「自力」と「他力」、両方をうまく使うように意識してます。

ーーどんな制度があって、どれなら該当するのか。たくさんあって混乱することはないんですか?

最初は社員がみんなバラバラに調べてたんですが、あるときからそれぞれ見つけたものをまとめたスプレッドシート(リスト)をつくったんです。申請漏れや重複を避けるためです。これはなかなか役立ってますよ。


リストには、制度の管轄や内容、進捗状況、締切日、社内の担当者名などを書き込み、スタッフ間で共有している(一部、画像処理)

「今後に備える前に、企業の存続が最優先」


ーー情報収集の次のステップが、「申請」ですね。ここでつまづくようなことはありましたか?

書類の準備に関しては、そんなに大変なことはありませんでした。特に持続化給付金と東京都の感染拡大防止協力金は、「これでいいのか」と思うほどインターネットですぐに申請できましたし。細かいことを言えば、例えば「登記簿謄本を5枚取ってきたはずなのにもうない。また行かなきゃ」とか、そういうちょっとした手間はありますけどね。

なんとなく先入観で「わかりにくそう」と思いがちですが、それが数十万円、数百万円に変わるんですから。多少面倒なことがあっても、そこはホームページなどをしっかり読み込んでいけば、糸口を見つけられるはずです。

唯一、雇用調整助成金はちょっとわかりづらくて苦戦しましたね。

ーーそこに苦戦されている人が多いようですね。

そうなんです。例えば平均賃金の計算方法とか、細かな入力作業もそうなんですが、その都度電話で確認しようにも、なかなかつながらなかったり、ハローワークに行っても1時間以上待たなきゃいけなかったり。ちょっとした疑問をすぐに確認できればいいんですけどね。

ーーそれでも、佐々木さんはなんとかやり切ったわけですね。

感染が広がり出した頃は遅くとも夏頃には回復できると思ってたので、当面の運転資金を確保しながら、回復した後に備えていろんな準備をしようと考えていました。

ただ、その後状況は悪くなるばかり。どうやら1年〜1年半は今の状況が続きそう。そう思って、具体的には4月中旬ですね、その時点で「今後に備える前に、企業の存続が最優先」と舵を切ることにしました。

売上が見込めない中では、コストカットするしかありません。プロモーションや販促費など削れるものは最大限削ったうえで、アルバイトを含めて18人のスタッフをどう守るか。そこで人件費は雇用調整助成金を使うことにしたんです。


ガイドは1つのメディア。ネットワークをつくって街の価値を高める


ーー今、ほかに申請を考えているものがあれば教えてください。

今のところ、4つですかね。まず、休校で仕事を休んだ保護者を補助する小学校休業等対応助成金と、5月以降の雇用調整助成金。それから、ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)というのがあるんですが、補正予算で補助率が1/2から2/3に引き上がった特別枠ができたので、それも検討しているところです。最後に、新型コロナウイルス感染症対策雇用環境整備促進奨励金。これは、雇用調整助成金を使って職場環境改善に取り組んだ企業に支払われる奨励金です。

ただ、補助金はその場しのぎでしかありません。大事なのは、これから事業をどうしていくかです。

ーーまさにその今後の戦略をお聞きできれば。インバウンドに特化されているという特殊な事情もある中で…

日々考えているので、もしかしたら明日明後日には変わってくるかもしれませんが、シナリオとしては3つ。今後1年くらいは、外国人観光客はなかなか来られない。これがニュートラルなシナリオでしょうね。今年中に回復すればラッキーで、1年以上長引くのがネガティブなシナリオです。

その中で、何ができるか。とにかく、いろんな可能性を模索しています。1つは、外国人向けにオンラインでツアーをやること。国内向けにも、できることはたくさんあります。外国人が戻ってくることを見越して、日本人ガイド向けの研修を強化することも大事です。それ以外にも、日本人向けにツアーを組んだり、地域の受け入れ環境を整備したり、どんな提案ができるか日々考えています。


オンラインツアーやガイドの研修など、今新たな打ち手を考えているという。

ーーこの苦境を、将来ジャンプアップするための期間にしようと。

そうですね、実はちょうどツアーガイドのネットワーク「JapanWonderGuide」をつくったばかりだったんです。私は、ガイドは1つのメディアだと考えています。

例えば、東京・丸の内。訪れた外国人が普通なら「すごいオフィス街だな」で終っちゃうところを、ガイドが「実はここには…」と丸の内のあまり知られていない歴史や魅力を伝えられれば、街の価値がグッと上がると思うんです。ガイドのコミュニティをつくりながら、自治体やまちづくりを担っている企業にそういう提案もしていきたい。

今回の危機は、今後10年、20年先まで成長していくうえでの試練だと感じています。これをなんとかステップアップの機会に変えられるように、未来に投資できそうなプレーヤーとできることを模索していきます。

※写真はいずれも佐々木さん提供

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