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SNS広告、キッチンカー、お宅訪問。 高崎のビストロシェフはコロナを機に学び、挑み続ける

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SNS広告、キッチンカー、お宅訪問。
高崎のビストロシェフはコロナを機に学び、挑み続ける
「ビストロ KNOCKS(ノックス)」があるのは、4-500店の飲食店が密集する群馬県高崎市の繁華街、柳川町。ノックスのオーナーシェフ横山明伸さんはコロナショックによるピンチを、新しい学びと挑戦、そして仲間との連帯で乗り越えようとしています。

活用した支援制度

  • 持続化給付金 
  • 雇用調整助成金(申請予定)
  • 小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)
  • 群馬県 感染症対策事業継続支援金
  • 高崎市 事業者用融資制度(申請予定)


予想外の結果が出たSNS広告


ーーコロナの影響でお店はどのような状況になりましたか。

昼は、フレンチビストロのちょっと高級な弁当を月2000食ほど出していましたが、それがほぼなくなり8割以上の売上減
夜はいわゆる飲み屋の多い繁華街だったので、中高年の方は早めに自粛され、あっという間に人けがなくなりました。待っていてもお客さんは来ない。来てくださいと宣伝もできない。売上は半減以下になりました。

これは無理だなと早めに決断し、経営していた2店舗のうちカジュアル路線のビストロを4月中旬に休業にしました。店舗数を絞り、席数と営業時間を減らして、予約のみの営業に切り替えました。

休業した店舗の赤字と日々の売上減は、別の方法でカバーしながら、とにかく社員3名アルバイト3名の給料だけは維持できればと思いやってきました。


ーー売上をカバーする「別の方法」とは?

「おうちでノックス」と名付け、市内限定でデリバリーを始めました。自粛続きの中で、たまにはちょっと素敵なディナーをしようというときに使ってもらえたらと。前菜からデザートまで、4人で1万円のカジュアルフレンチコースの晩餐です。仲間の花屋との連携でお祝いのアレンジメントも一緒にお届けできるようにしました。

宣伝は、店のFacebookページの広告インスタグラムだけでしたが、気づいたら新規のお客さんが多くなっていて、1日3〜5件の注文が入るようになりました。
WEBの注文窓口もつくりました。でも地元なので実際は電話が多いですね。

お客さんの反応は、「美味しい」と言っていただくと同時に「やっぱりお店で食べたいな」とも。店の味を覚えていてくださって、店に来たいと思ってくださる方を、つなぎとめておくツールでもあるのかなと思っています。


(自宅でちょっといいディナー、「おうちでノックス」のお届け例。)


ーーFacebook広告ですか。効果があるんですね。

そうなんですよ。まだ地方でやっている店が少ないからか、1日100円とか200円の広告費なんですが、なかなか費用対効果が良くて驚きました。地域とターゲットをしぼって打っています。

先日も、GWの恒例お肉の食べ放題企画の宣伝に使いました。6〜7000千円相当の食べ放題が5500円になる企画なんですが、今年はFacebook広告限定で3939円というキャンペーンをしました。1日500円を6日間、つまり広告費3000円で、100食以上が売れたんですよ。すごくないですか。

もともとSNSやITは全く詳しくなかったのですが、コロナのこの機会に3時間くらいみっちり勉強して挑戦してみた形です。

空いた時間を料理以外の学びの機会に


ーー料理人兼経営者の忙しい日々では、なかなか新しいことに着手できないですものね。

今回休んでる期間に「よし、料理じゃないことやろう」と思いました。売上を伸ばす方法や、IT的なことを勉強をする機会にしようって。助成金も、調べたり問い合わせたり、それなりに時間がかかることを徹底してやることができた時間でしたね。

今後の不透明な時代に自分たちが生きていくことを考え、今ある店のスタンスを保ったうえで、しっかり戦略を練った施策や方向転換が必要だと思いました。来店頻度が落ちるなら、それでも採算の合うテイクアウトやケータリングの仕組みづくりをしたいと。

「おうちでノックス」は、お客さんが月に1回注文してくださればいいと決めました。ちょっとしたときにノックスを頼もう、と思ってくださる人を市内に何人つくれるか。そのために宣伝をし、これから半年くらいかけていいものにしていきます。


ーーこれからの飲食業への視点も変わりましたか?

まさに。美味しい料理は作れても、届けられなかったら意味がない。料理するだけじゃなく、どう売るか、どう店に来てもらうかも大事なことだったと気づかせてもらいました。小さな店舗だとしても、スタッフ教育とか、IT・SNS戦略とか、もっと勉強して今までの店舗運営より一歩上へ進みたいです。

我々飲食店経営者って、数字よりも気持ちと勢いでやってきた人も多いんじゃないかなと思うんです。でもこれから先、残っていくためには、コンサル的な経営サポートをしてくれるパートナーが必要かもしれないですね。僕にとっては、地元の飲食店仲間に相談に乗ってもらえたことが大きいです。

飲食店仲間で知見を共有し、支え合った


ーー地域の飲食店仲間ってライバルでもありますよね?

そうなんですけど、高崎の地元の飲食店はすごく仲がいいんです。仲間のいろんな店に行き合ってしょっちゅう一緒に飲んでいました。地方独特のノリかもしれないですけどね。

コロナの混乱が始まった3月は、毎週土曜に集まって話し合いました。仲間だけでも合わせると高崎で売上10億円以上のメンツです。ロジックで考える奴、勢い中心の熱い奴、いろいろいて、それぞれのアイデアや調べたこと、やってみて分かった知見を惜しみなく共有し合いました。

そんな中生まれたのが、クラウドファンディングへの挑戦です。私の店も含め、高崎の20の飲食店が参加し、一律1万円で食事券などをリターンにして支援を募りました。結果は驚きで、目標100万円のところ1週間で525万円


(仲間と挑戦したクラウドファンディングは達成率525%という大成功。)

また、一昨年あたりからここの飲食店組合の世代交代が進み、平均40代くらいに若返ったのが何気に大きいと思っています。皆がフラットに意見を言えて、柔軟で早い動きができる組合に変わったことが、こういう大変な局面で生かされました。コロナ渦中も、組合が買い支えたり委託販売を手伝ってくれたりしました。

今は実験のとき。


ーー今後チャレンジしていくことは何かありますか。

店舗営業の縮小と、コース料理のデリバリーに加えて、もう1つ打ち手があります。
先月中旬に1.5トンのキッチンカーを買いました。移動販売というよりは、その場で料理を作って出すケータリングをBtoBでやってみようと。

今後、店への来客数はどうしても少なくなると思うので、働く場に着目しているんです。企業や工場の慰労会、決起大会などの行事に、会議室でも工場敷地内でもどこでもケータリングを持っていく。5000円を20人以上で飲み放題も入れて、つまり宴会を請負ってしまう形です。

毎日可動するわけではないので、他の業態の人のテストキッチンとしての貸し出しも行います。ラーメン屋だったりバーガー屋だったり、できるかどうかちょっとやってみたいという人に。それで固定費を少しでも抑えられたら助かるし、こちらも勉強になります。


(これからキッチンカーを使ってのケータリングに挑戦する)


ーーいいですねキッチンカー!これからやりたい人も多そうですね。アドバイスあったらいただきたいです。

一番気をつけなければいけないのは水の積載許容量。水が多く必要な業態の人は注意です。あと、軽トラのキッチンカーだと1品しか売れないって知ってました?焼き鳥とビール両方を売るのは無理なんです。

東京都もキッチンカーへ補助金が出るようになったみたいですね。今後屋外でのイベントも増えていけば可能性は広がるし、衛生面でいうとワゴン販売などよりいいので、検討価値があると思います。


ーーありがとうございます。大変な状況だとは思いつつ、横山さんからワクワクしたムードが伝わってくるのは気のせいでしょうか。

ははは、そうですか。新しいことを知ったり始めたりっていうのは面白いですよね。

今までは来店客数しか頭になかったのが、店に来れなくても「どうノックスと関わってもらうか」と考えたら、いろんな発想が浮かぶことが分かりました。

世の中の状況を見つつ、次にやりたいのは「おうちがノックス」。つまりお客さんの家に僕がお邪魔して、その場で料理を作る。お抱えシェフみたいな感じです。1日1件か2件が限度なので決して効率はよくないんですけど、その場で料理するところを見てもらえたり、何なら教えたりもできますし、家庭のリアルなニーズも見えて勉強になると思うんですね。

今はお金に直接ならなくても、社会・お客さんからの「勉強」の部分を、飲食店経営者や料理人がどんどんやっていくのがいいと思います。きっとこれから「外で食べること」「プロの料理を食べること」の持つ意味が変化していくと思うので、それを探り当てに行くような感覚で楽しめたら一番いいですよね。仲間とあーだこーだ言いながら。

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