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過疎地は強い?「顔の見える関係」で融資も助成金も。 岐阜のツアー会社に聞いた

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過疎地は強い?「顔の見える関係」で融資も助成金も。
岐阜のツアー会社に聞いた
コロナの感染拡大に伴う外国人旅行者の急減は、地方の里山にも大きな影響を与えていたーー。北アルプスの山々や長閑な田園風景が広がる岐阜県飛騨市。「暮らしを旅する」ツアー事業を展開している株式会社美ら地球(ちゅらぼし)は、大半を占める外国人旅行者がぱったり途絶えてしまいました。それでも、融資や助成金を使って運転資金をなんとか確保。「日本人向けのサービスも開発したい」と新しいチャレンジも考えているようです。融資の体験談やこれからのことを、取締役の山田慈芳(しほ)さんにお聞きしました。

活用した支援制度

  • マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)
  • セーフティネット保証制度4号
  • 雇用調整助成金
  • 持続化給付金
  • 岐阜県新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金
  • (申請予定含む)

繁忙期の4月、ツアーは軒並みキャンセルに


ーー観光はいち早く影響が出始めましたよね。

私たちは飛騨市をフィールドに、里山の魅力に触れるツアーやアクティビティを提供する「SATOYAMA EXPERIENCE」事業をメインに手がけています。お客様のほとんどは、欧米の外国人です。当然キャンセルが相次ぎ、ツアーの売上はゼロになってしまいました。

しかも、コロナが直撃した4月は予約が殺到するトップシーズンでした。実は、昨年は暖冬で雪が降らず、スノーシューツアーができなくて。でも、「4月は予約がたくさん入ってるからがんばろうね」なんてスタッフと話してたんです。

ツアーは一切できないので、現在は休業しています。一番大変なのは、雇用の維持です。スタッフは9人。売上がほとんどないので、休業させて雇用調整助成金をもらわないと立ち行かなくなります。

ーー雇用調整助成金は申請準備が大変だと聞きますが…

自分で必死に調べながら、わからないことは社労士に聞くようにしてますね。

契約している社労士に、コロナ対応の業務は別枠でお支払いするかたちでお願いしています。決して安くないんですが、私だけではどうしても理解し切れないところがありますし、先々のことを考え、手を打つことに自分の時間を使いたいので、プロの力を借りることにしています。

早めに準備したので、もう計画書は提出しました。申請もすぐできる状態なんですが、6月以降を予定しています。

ーーすぐに申請しないのは、なぜでしょう?

助成金額は、全社員の1日あたり賃金の平均額と延べ休業日数で算定するんですが、このタイミングで申請すると、一昨年度のデータを基準にしないといけないんです。

一昨年と現在は、状況が違います。育休をとっていた社員もいますし、そうすると平均額が下がってしまうんです。労働保険料申告書に記載された昨年度の賃金総額は、確定するのが6月以降です。社労士と相談して、少なくとも昨年度のデータを使えるようになるまで待とうと。

雇用調整助成金に関しては、助成率が引き上げられたり中身がよく変わるので、状況を見極めながらうまく対応していこうと思っています。


サイクリングは「SATOYAMA EXPERIENCE」の目玉アクティビティの1つ。

過疎地は強い?「顔の見える関係」とはーー


ーー借入についてもお聞きしたいのですが。

通称「マル経」と呼ばれる商工会を通じて申請する日本政策金融公庫の融資、それとセーフティネット保証制度の4号を使いました。

ひとまずこれで、当面の運転資金は確保できそうです。融資の制度はいろいろあって、「これもいける」「あれもいけそう」と正直どれも当てはまるんですよね。

ーー細かい違いはなかなかわからないですよね。どうやって決められました?

まずは無担保・無利子で借りられるものですよね。あとは、手っ取り早いもの。

例えば、日本政策金融公庫の無利子・無担保の融資もありますが、飛騨からだと岐阜市まで行かないと窓口がなくて。殺到してて時間がかかるとも聞いていたので、そっちはやめて金融機関と相談しながら、スムーズに進められそうなものを選びました。

金融機関の存在は大きかったです。普段から付き合いがあって、顔の見える関係でした。今回もすぐに連絡できて、熱心に動いてくれたので助かりました。

こういうとき、過疎地は強いですよ。役所や銀行の窓口はそれほど混んでないですし、小さな町の中心市街地にあるので、徒歩3分以内に取引している銀行の支店が2つもありますから、担当者はすぐに飛んできてくれたりしますからね。

これが名古屋だったら、担当者となかなかつながらないとか、そういうことがあり得るんじゃないですか。ますます過疎地が好きになりましたね。

ーー県や市など、ローカルの情報はどう集めるのが効果的なんでしょう?

ホームページや地元紙、それに商工会や金融機関などからが多いですかね。あと、会員になっている一般社団法人日本エコツーリズム協会などから「事業者の皆様へ」といったかたちで情報が回ってきたりもします。

「過疎地は強い」とさっき言いましたが、市や商工会も精力的に動いてくれてるんですよ。地方はどうしてもネットの情報に疎い高齢者が多いんですが、例えばハローワークの職員を呼んで雇用調整助成金の勉強会を開いてくれたりするんです。

岐阜県の感染症拡大防止協力金の情報が出たときも、飛騨では商工会の職員が小さな商店を一軒ずつ回ってましたよ。「『○月○日まで休業します」と掲示すれば(協力金が)もらえますから」って、店名や日付を書き込めば店の前に掲示できる雛形まで用意されて、それを片手に店主の皆さんに声をかけてました。ほんとに頭が下がりますよ。


冬はスノーシューが楽しめる。これも外国人旅行者に人気のプログラム。

国内向けのサービス開発へ。「今年は日本人にも来てもらいたい」


ーー当面の危機回避が最優先でありつつ、事業としては今後どう対応していくか。先行きが見えづらい中ですが、何か考えていることはありますか?

外国人に関しては、1年後の予約がちらほら入ってきてるんです。状況が落ち着いてくれれば、来年はある程度戻ってきてくれるんじゃないかと期待しています。

ただ、今年は難しい。今考えているのは、日本人にももっと里山のよさを知ってもらうことです。実は、4月に新しいオフィス兼宿泊施設が完成したんです。宿泊はもちろん、ワークショップルームもつくったのでイベントなどにも使えます。

星野リゾートの星野代表が提唱されているマイクロツーリズムに準じて、地域の住民の皆さんを皮切りに、名古屋をはじめとする愛知、岐阜の市街地、あるいは富山など、まずは近いところから徐々に移動ができるようになってくると思うので、そのあたりを中心に日本人のお客様に来ていただけるようにしたいですね。

ーー外国人と日本人では、ツアーやアクティビティのニーズも変わってきますよね。

そうなんです。これから日本人に合ったサービスを開発して、提案していくつもりです。時間をもらったと思って、日本人のお客様とゆっくり向き合う機会にできればと思っています。

ツアー事業を初めてから、5月1日に10周年を迎えました。お客様や関係者をお呼びしてこれまでの感謝を伝えられるようなイベントも、落ち着いたらぜひ開催したいですね。

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