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キャンセル400人、売上9割減の飲食店。 ワイン販売、融資と給付で危機回避へ

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キャンセル400人、売上9割減の飲食店。
ワイン販売、融資と給付で危機回避へ
歓送迎会シーズンの春は、飲食店の書き入れ時。これがコロナ渦で状況が一転、山梨県甲府市のワインバー「FourHeartsCafe(フォーハーツカフェ)」は予約キャンセルが3〜4月で約400人、売上も4月はなんと9割減ほどに。それでも、オーナーの大木貴之さんはあの手この手を駆使して「存亡の危機」を乗り越えようとしています。ワインの販売から、融資や給付金申請まで。苦境の打開策をお聞きしました。

活用した支援制度

  • 新型コロナウイルス感染症特別貸付
  • 持続化給付金
  • 雇用調整助成金
  • (申請予定含む)

「存亡の危機」も、限定酒類小売業免許やボトルキープの権利販売で対応


ーー外出や会食を控える動きは、飲食店を直撃しました。

甲府市内でワインバーを3店経営してるんですが、影響が出始めたのは2月下旬から。予約のキャンセルが入り始めて、あっという間に3〜4月の予約はすべてキャンセルに。うちは団体客も多いので、全部で400人くらいの予約がすべて吹っ飛びました。

ーー400人分のキャンセルですか。それは大打撃ですね。

それでも、3月までは「飲んで応援しよう!」と来店してくださるお客様がけっこういたんです。でも、4月に入ると様相が一変しました。甲府駅近くの居酒屋でコロナ感染が発覚してからです。人通りが一気に減って、町は閑散としてしまいました。

テナントの事情で2店は休業し、本店のみテイクアウトを中心に時短営業をしてるんですが、4月の売上は9割減。3〜4月は歓送迎会シーズンですし、本来なら稼ぎどきです。こんな状態が続けば、お店はもちません。恐ろしい話ですよ。


「フォーハーツカフェ」本店。現在はテイクアウトを中心に時短営業を行っている(大木さん提供)

ーーまさに「存続の危機」ですね。それでも、なんとか打ち手を考えようと。

はい、お客様から「がんばって!」という声をたくさんいただいて。それと、「何か売ってください!」という声も。でも、お酒の通信販売の免許はない。

そこで、税務署に確認をとって「ワインを飲む権利(ボトルキープ)」を販売することにしたんです。名付けて、「何年も保管して大切に育ててきたうちのワインたちを『うちのお店で楽しむ権利』」の販売です。状況が落ち着いたら、そのワインをお店で飲めるという仕組みです。

それと、料飲店等期限付酒類小売業免許(国税庁)も取得しました。

ーー酒類小売業免許ですか。どんな制度なんですか?

半年間の期間限定で、店内のお酒をテイクアウトで販売できるものです。うちは山梨のワインとともにクラフトビールも10年以上提供していて、クラフトビールの量り売りは前からしてみたい業態だったので、これは実験してみるチャンスと思いました。

何よりお店の存亡の危機ですから、「考えるよりまず行動!」と早速申請したら、すぐに許可証が届きました。あまりの早さに驚くほどでした。

しかも、手続きも非常に簡単です。申請書をダウンロードして記入、必要書類を用意したら、あとは最寄りの税務署に行くだけ。郵送も可能です。少しでも売上がほしい飲食店には、かなりオススメですね。


お酒をテイクアウトで販売できる料飲店等期限付酒類小売業免許を取得。申請は簡単で、審査も非常にスピーディーだったそう(大木さん提供)

給付金も融資も、「書類さえわかれば、手続きは簡単」


ーーその後、給付金や融資を申請されるわけですね。

持続化給付金は楽でしたね。サイトが混み合ってなかなかアクセスできないなんて話も聞きますが、私は営業が終わって帰宅後、夜中にふらっと覗いたらすんなりアクセスできましたし。

一応、税理士からアドバイスはもらいましたけどね。「必要書類はこれとこれと…」と確認してもらって。これは簡単でいいですよ。難しいことはないと思います。

ーー借入で日本政策金融公庫の特別貸付を選んだのは?

条件が当てはまること、返済の期間が長いこと、あとは金利が安いこと。このあたりですかね。今となっては同じような条件のものも増えてると思いますが、当初はこれが一番いいという話を聞いて。

まずはそこをノックしておいて、普段付き合いのある信用金庫はいつでも相談できる。そんな算段でした。

これも税理士に提出書類を確認してもらったんですが、難しくはなかったですね。ただ、申請が殺到しているので、申請した金額が妥当かどうか、この内容で通るのか。おそらく大丈夫だと思いますが、今は連絡待ちの状態です。

ーー手続きとしては、2つともスムーズだったわけですね。

書類さえわかれば、簡単ですよ。ただ、私は税理士からアドバイスをもらえましたが、それが難しい人は不安でしょうね。

持続化給付金でいえば、例えば法人事業概況説明書や法人税確定申告書とか、それが果たして何を指すのか、どこにあるのか。本当にこの書類で間違ってないのか。もし間違えても、「間違えてますよ」と連絡が来るらしいので台無しになることはないんですが、それでも不安は残りますよね。

ーー確かに、この書類で本当に合ってるのか。確証が持てないと不安ですよね…

「これはこの書類だよ」というのが、もっとわかりやすいかたちで確認できるといいですよね。そのあたりは、例えばSNSで画像が載っている投稿を探すとか、動画で見るとか、そういう方法が有効かもしれません。


地元・山梨産のワインを数多く取り揃えている。早くお店で味わえる日が来てほしい!(大木さん提供)

手続きが難しい?雇用調整助成金も「なんとかする」


ーー今は申請の通過と入金を待っている状況ということでしょうか?

持続化給付金は5月1日に申請して、5月12日に振り込まれました。GW(ゴールデンウィーク)があったのに素早い仕事、日本に感謝です。

借入ももちろん早くほしいですが、役所が人力でやってることですし、申請も殺到しているので待つしかないですよね。持続化給付金が入ってきたので、当面の危機は回避できそうです。

金額的にも、大きいのは借入です。そこが決まらないと、その後考えている雇用調整助成金にも手が付けられません。スタッフの給料を払うにも、お金がないと出せないですからね。1つのボトルネックが、いろんなところにつながっていくんです。

ーー雇用調整助成金は、申請手続きが煩雑と言われてますが…

準備する書類がたくさんあるんですよ。例えば、過去を遡ってスタッフの平均賃金を計算したりとか。しかも、社員とアルバイトでそれぞれ別の書類を用意しないといけないみたいで…。

ありがたい制度なんですが、ハローワークや労働局に相談に行っても混んでますし、電話でやりとりしても正確に理解しきれない部分もあったりして。


雇用調整助成金の申請に向けて準備している書類。スタッフの平均賃金を入力したりする必要がある。

ーーどなたかアドバイザーのような方に相談されたりは?

そうですね。ひたすらネットで調べて、基本は自分でやりましたよ。その中で一番いいのは、厚労省の簡易版パンフレットですね。それを見ながら、細部のわからないところはYouTubeで調べたり、電話で問い合わせたり。地道に、その繰り返しです。これはスタッフの雇用維持には絶対に欠かせない大事な制度ですから、なんとかしますよ。

でも、やはり怖いので最後は社労士さんにみてもらおうと思います。不受理となったら、それほど資金のないお店は早々に潰れてしまうので。

そういう意味でも、「何度修正しても、絶対あげるからともかく給料払って」というメッセージが見えてこないですね。現状のお店の対応もしないとならないし、そのうえこの手続きは厳しいですね。まあ、悪事しようと考える人たちがいることがいけないんですけどね。

ーー感染が落ち着いても、どの業界も「すぐに元通り」とはいかなそうです。飲食店もやはりそうでしょうか?

お店は急激な復活はないと思っているので、5割くらいを回すイメージで、その分ワイン販売など別の柱をつくろうと思ってます。今一番怖いのは、恐怖におののいて思考が停止すること。直近の危機をどう回避するかも大事ですが、その先の未来をつくっていくことも必要です。

シャッター街化した甲府の中心地をなんとかしようと、東京からUターンし、お店を開業してちょうど20年。このタイミングで店舗の統合や業態転換などを含めて、新たな設備投資やチャレンジに打って出ようと考えていました。これから新しいことにトライしていくつもりです。

仲間と始めた「ワインツーリズム」の活動も大きな打撃を受けています。これも、コロナ後の時代に合ったスタイルにアップデートしていく必要があるでしょう。

ーー「ワインツーリズム」ですか。どんな展望を描いているんでしょうか?

県内各地のワイナリーを巡るツアーですが、私たちがやっているのは「地域をまるごと楽しんでもらう」こと。今はワイナリーだけじゃなく、ツアーに関わる旅館や飲食店も非常に苦しい状況です。

これまでは専用バスで大勢に参加してもらうスタイルでしたが、今後は例えば人数を絞ってツアーの付加価値を上げていくとか、ツーリズムのあり方を根底から見直す必要があると思っています。

これまで私たちは東日本大震災やリーマンショックなど、いろんな試練を乗り越えてましたが、今回は過去最大の難関です。でも、だからこそ地域の仲間と支え合いながら、クリエイティブでなければいけないと思っています。

未来の人たちから見られている。そんな気持ちで、がんばっていきますよ。今回のことは、きっと未来の歴史の教科書に載るでしょうからね。

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